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検査値の見方について

健康診断の結果を見直しましょう

 健康診断(人間ドック)を受けた後に、結果の内容をあまり見ずに放置していることはありませんか。
自身の状態を見つめ直す機会として一度目を通してみましょう。
もしお持ちであれば、最新の結果だけでなく過去数年の結果も含めて比較してみましょう。

健診項目の基準値と値の解説

※特定健診に含まれる項目は特定健診の基準値、それ以外の項目は主に日本人間ドック学会の基準値を掲載していますが、医療機関によって異なることがあります。

【身体測定】
〇BMI:18.5~25未満(18歳~49歳)、20~24.9(50歳~64歳)、21.5~24.9(65歳以上)
身長と体重から算出した肥満度の指標です。25を超える方は肥満、18.5(年齢によって異なる)未満の方は低体重となります。

〇腹囲:男性85㎝未満、女性90㎝未満
おなかにたまった内臓脂肪の蓄積度が分かります。メタボリックシンドロームを判定する際に用いる値です。

〇血圧:拡張期~84mmHg、拡張期~129mmHg
心臓から送り出された血液が、血管に与える力が血圧です。血圧は高くなるほど、心臓や血管に大きな負担をかけます。その状態が長く続くと、脳や腎臓などへの血液供給にも影響を及ぼし、脳血管障害、心臓病、腎臓病などの生活習慣病にかかりやすくなります。

【血液一般検査】
〇赤血球:男性400~539 10⁴、女性360~489 10⁴/µl
〇ヘモグロビン(血色素):男性13.1~16.3/dl、女性12.1~14.5/dl
〇ヘマトクリット:男性38.5~48.9%、女性35.5~43.9%
赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリットは高値だと多血症、低値だと貧血となります。また3種類の割合から、貧血の種類と程度を調べます。
貧血は、鉄不足によるものと考えがちですが、過多月経、子宮筋腫、胃潰瘍、大腸がん、痔などによる失血が原因の可能性もあります。再検査の案内があった際は、きちんと受診しましょう。

〇白血球:3.1~8.4 10³/µl
白血球は、体内へ侵入した細菌や異物を攻撃してからからだを守る役割を持っています。この数が増加しているときは、からだのどこかに炎症や病気があることが考えられます。
喫煙でも値が増加します。

〇血小板:14.5~32.9 10/µl
血小板は、血管が破れたときに傷口に集まって血液を止める役割があります。そのため、血小板が低値だとあざができやすかったり血が止まりにくくなります。高値だと、血液が血管内で凝固し血栓ができやすくなります。
 
【血清脂質検査】
〇総コレステロール:140~199㎎/dl
総コレステロールはHDL(善玉)コレステロールとLDL(悪玉)コレステロールなどの総称です。細胞膜の成分やホルモンの材料として必要不可欠です。高値であると、脂質異常症・動脈硬化・甲状腺機能低下症が、低値であると栄養不良・肝硬変・甲状腺機能亢進症が疑われます。

〇HDL(善玉)コレステロール:40㎎/dl~
血管壁から悪玉コレステロールを取り除いて肝臓へ戻す働きを持っています。低値であると動脈硬化の原因になります。喫煙はHDLコレステロールを減らします。

〇LDL(悪玉)コレステロール:~119㎎/dl
コレステロールを血管へ送り出して全身へ運びます。高い状態が続くと、動脈硬化を引き起こします。120~139mg/dlの脂質異常症予備軍レベルであっても、喫煙や糖尿病など他の危険因子と組み合わさることで、狭心症や心筋梗塞を発症する危険性が高くなるので注意が必要です。

〇中性脂肪(TG):~149mg/dl
中性脂肪は、それ自身が動脈硬化の原因となるばかりでなく、中性脂肪が増えるというHDL(善玉)コレステロールを減少させてしまいます。飲酒過多、糖質過剰摂取、肥満、糖尿病の人は中性脂肪の値が高くなります。食事の影響を受けやすい値です。絶食の指示は必ず守りましょう。

【肝機能検査】
〇AST(GOT):~30U/L
〇ALT(GPT):~30U/L
肝細胞に含まれている酵素で、肝臓に炎症などの障害が起こると肝細胞が壊れ、この酵素が血液中に流れ出します。(以下の3パターンがあります)
・ALTよりASTが高い→アルコールが原因である傾向があります。
・ASTよりALTの方が高い→食べすぎが原因である傾向があります。内臓脂肪を減らすと数値が改善されます。
・ASTのみ高い→心筋梗塞や筋肉の異常の可能性があります。

〇γ-GT(γ-GTP):~50IU/l
肝臓や腎臓に存在する酵素で、アルコールに敏感に反応する性質を持っています。そのため、アルコール性肝障害の診断に用いられます。この値だけが高いときはアルコールが原因である可能性が高く、この場合はお酒をやめることによって数値は改善されます。

胆道の閉鎖でもγ-GTは上昇します。

〇総たんぱく:6.5~7.9g/dl
〇アルブミン:3.9/dl~
血清中のたんぱく質を調べる検査です。血清中のたんぱく質にはアルブミンとグロブリンがあります。肝機能や腎機能に障害があると低値となり、骨髄腫で高値になります。総たんぱくに異常がある場合、どのたんぱくが異常か、たんぱく分画検査をします。

〇LDH(LD、乳酸脱水素酵素):124~222U/l
糖がエネルギーに変わるときの酵素で、臓器の細胞が壊れると値が上昇します。肝臓、心臓、肺などに多く存在するので、LDHが高値の場合は、どの臓器のLDHが高いか検査を受ける必要があります。

〇総ビルリビン:0.4~1.5㎎/dl
ビルリビンは血中の黄色い色素で、通常は胆汁中に分泌されますが、肝臓の処理能力が低下すると血中中に増え、黄疸の原因となります。体質的に高い場合もあります。

〇血清アミラーゼ:44~132U/l
すい臓や唾液腺から分泌される消化酵素で、膵臓に障害があると血液や尿に出てきます。アミラーゼが膵臓由来か唾液腺由来か検査を受けます。
 
【糖尿病検査】
〇空腹時血糖・随時血糖:~99㎎/dl
血液中のブドウ糖のことで、これが過剰になってからだの血管を痛めていく病気が糖尿病です。血糖値検査は空腹時血糖を基準としており、朝食抜きで検査を行いますが、やむを得ず空腹時以外でヘモグロビンA1cを測定しないときは、食後3.5時間以降での採血の場合に限り、随時血糖として判定します。
 
〇HbA1c:~5.5%
血糖中のブドウ糖とヘモグロビンが統合したもので、高血糖の状態が続くと多くなります。過去1.2か月の血糖の状態を判定する値で、直前の食事の影響を受けにくく、糖尿病の指標として用いられます。

【痛風・腎臓病の検査】
〇尿酸:2.1~7.0㎎/dl
尿酸はからだに新陳代謝によって生成され、腎臓を通して排泄されますが、飲酒や暴飲暴食などから血液中の尿酸が増加するとそれがガラスの破片のような結晶となり、関節に付着して炎症を起こします。これが痛風発作です。男性に多く、最近は若い男性にも増えています。尿酸値が7.0㎎/dlを超えると結晶化しやすくなります。

〇尿素窒素:8~20㎎/dl
〇クレアチニン:男~1.0㎎/dl、女~0.7/dl
〇eGFR:60ml/分/1.73m
eGFRは、クレアチニンと年齢・性別から計算された値です。尿素窒素とクレアチニンが高値であり、糸球体濾過量は数値が低値であると腎機能の低下を表し、慢性的に腎臓の働きが低下する慢性腎臓病(CKD)の指標となります。慢性腎臓病は脳卒中や心筋梗塞を引き起こしたり、人工透析が必要になるので注意が必要です。

【尿検査、便潜血反応検査】
〇尿たんぱく:陰性
腎臓、膀胱、尿道などに障害があると、尿の中のたんぱく質が多くなります。また、糖尿病になって腎症が進んでも多くなります。
激しい運動の後やストレスがあるとき、立ち仕事が続いた時に尿たんぱくが陽性になることがあるので、一度の検査では判断できかねます。

〇便潜血:陰性
腎臓、膀胱、尿道に障害があると、尿に赤血球が混じっていることがあります。
女性の月経時は正確な検査ができません。

〇尿糖:陰性
糖は一度腎臓でろ過後、再吸収されるので尿中で検出されることはありませんが、血糖が高くなりすぎると、再吸収しきれなくなって尿中に検出されます。血糖値が160~180mg/dlくらいの方が陽性になりやすいです。また、糖尿病が長く続くと尿糖は上昇しにくくなり、糖尿病の判定には向きません。血糖値が正常で尿糖が+の場合は、腎性糖尿病といい、糖尿病になりやすいといわれています。

〇ウロビリノーゲン:弱陽性
見た目で判断できない黄疸も診断できるため、肝機能異常の早期発見に役立ちます。ウロビリノーゲンは、健康な人でもわずかに尿中に排出されるので弱陽性が基準値となっています。便秘では尿中に排出されるウロビリノーゲンの量が増加します。

〇尿沈査:ほとんど何も検出されない
〇便潜血反応:陰性
大腸から肛門までの消化管に出血があるかどうかを調べる検査です。大腸がんの早期発見に役立ちます。

〈参考〉
・JA北海道厚生連 臨床検査項目一覧 vt1bv7000000jwpq.pdf (dou-kouseiren.com) 
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